先日のジェットボイル比較の閲覧数が多めなので、バーナー紹介をしたいと思います。
といっても、私はジェットボイルを好んで使っているので、ジェットボイル とSOTOの『ストームブレーカー (storm breaker)』の2つしか持っていません。
まずはストームブレーカー の全体像を。
「えっ?なんか多くない⁇」と思われた方、、、するどいっ‼️
登山用のバーナーには、大きく分けて3つ種類のバーナーがあり、それぞれに特徴がありますので、簡単に分類と説明を。
①ガス燃料式バーナー
専用のガス缶を燃料にしているバーナーです。扱いが簡単で、火力も高く、広く普及しています。弱点としては、気化したガスを燃料としますので、気化しなくなる低温(温度はメーカーのガス混合比で異なる)で正常な作動ができなくなります。ネットではガス缶(OD缶)がアウトドア専門店でないと入手できない点についてデメリットとしている意見が見られますが、日本においては特に問題ないでしょう。
②液体燃料式バーナー
燃料にホワイトガソリンを使うバーナーで、ガス燃料式バーナーが普及する以前に一般的だったタイプです。良い点は、ガス缶が使えないような低温下でも難なく使用できることです。そして、これが今なお液体燃料式バーナーが生き残っている主な理由です。デメリットは、使用前に、燃料を送り出すために燃料缶を加圧しなければならなかったり、余熱が必要だったり、点火後直ぐは炎が安定しなかったりと、『クセの強い』バーナーです。
③固形燃料式バーナー
バーナーというか、固形燃料を燃やすだけです。旅館で出てくる鍋の下で燃えてるヤツの親戚です。メリットは、燃焼装置が必要ないことから、軽量・コンパクトな点。デメリットとしては、火力や燃焼時間の調整が出来ない点です。夏山日帰り登山の非常用装備として持つことはありますが、炊事には不向きでしょう。
話をストームブレーカー に戻しますと、ストームブレーカー は、なんとっ❗️これ一台で、①と②の二役をカバーしています。
ですので、上の画像では①用と②用の装置が両方並べてあり、「なんか多い、、、」的なことになっています。
ただ、①と②の両機能というだけでは、ジェットボイル派の私が、ストームブレーカー を購入する動機としては不十分です。
次に、ストームブレーカー の“痒いところに手が届く”機能を見ていきましょう。混乱しないように①と②に分けてご紹介します。
随分すっきりとしました。ガス缶とバーナー本体だけですね。
①の場合、最大の弱点は『低温』です。私も、厳冬期には相棒のジェットボイルが点火しない又はマックス火力でも超弱火の出力しか出ない場面にそこそこ遭遇しています。
ですが、これを打開する方法があります。それは、ガスの『液出し』と呼ばれる使用方法です。ガス缶を上下逆さに設置することにより、ガス缶の底(設置時には上面)に気化したガスが溜まり、その圧力で液体のガスをガス缶噴出口から押し出します。この方法であれば低温時も問題なくガス缶が使用できます。実は海外製品ではメジャーです。
ですが、日本ではガス検という検査があり、これを通過しないと安全器具として流通しません。しかもこの検査、相当厳しいらしいです、、、ですので、海外製品は日本のガス検に合格できず、国内で正規流通していないものが多いのです。
そんな中、ストームブレーカー は、ガス検の認証を受けた、『液出し』可能な数少ないガスバーナーなのです。
次に②の場合の痒い所です。
②の使用方法の場合、ガスの時より見た目が少しゴチャッとしていますが、基本部品数は一緒です。
液体燃料バーナーには、燃料にホワイトガソリンが指定されているものが多くありますが、ストームブレーカー は、ガソリンスタンドのレギュラーガソリンでも使用可能です。海外のどこでも入手可能ですので、汎用性という面では最強となります。
また、液体燃料式バーナーは点火時に、バーナー部分を予熱しなければいけないものが多いです。これが手間なのです。本当❗️ですが、ストームブレーカー は、“予熱なし”で点火できます。これだけでも買う価値あるくらい、手間なのです。本当にっ‼️
以上が①と②それぞれの機能面から見た、他のバーナーとの差です。
次に、燃焼に関係ない点に焦点を当てていきましょう。ジェットボイル のようにガス缶に直接バーナーをドッキングさせるのが一体型で、ガス缶とバーナーがホースでつながっているのが分離型です。
ストームブレーカー は分離型です。一体型が、コンパクトで軽量であるのに対し、分離型は重くかさばります。ですが、重心が低く脚がしっかりとしているので、大きなコッヘルなどを安心して置けます。
付属品として、バーナーベース(下敷)も付いています。
これがないと、熱が伝わりテントが悲惨なことになったり、バーナー下の雪が溶け、バーナーが傾きご飯が大惨事になったりします。このアルミホイル風のバーナーベースの厚さが絶妙で、ネットでも、「さすがバーナー専門メーカー」などと大絶賛されてます。同じ素材の風防もあり、合わせて使うと下の画像のようになります。
ストームブレーカー のデメリットは、やはり『重さ』です。バーナーだけで278g(ガスバージョン)と、分離型としては一般的ですが、一体型と比べると登山に持っていくのに躊躇してしまいます。そして、『液出し』『液体燃料』共にストームブレーカー は火力調節が難しいです(MSRなど液体燃料でも火力調整しやすいモデルもあります)。
結論:
ガスでもガソリンでも使える凡用性。そして、テント内でもマイナス10度以下になるような厳冬期でも安定した燃焼能力。分離型のメリットでもあるゴトクの安定性などから、ストームブレーカーは、優秀なバーナーだと言えます。