雪山登山で恐れるものの一つは、やはりホワイトアウト。視界が真っ白になり、地面と空の区別がなくなり、方向感覚を失う。
また、視界のない中で、斜面の傾斜により平衡感覚も無くなってくる。酷いブリザードになると、これらに加えて風による寒さや、わずか2メートルも離れてない先行者のトレースすらなくなる状況になる。
このような時は、まずはビバークを考える。ツエルトを被り、温かい紅茶でも飲みながら、落ち着いて次の行動を考える。
ただし、リッジ上にいたり、風の通り道だったりビバークという選択肢が最善ではない場合もある。そのような時に、安全を確保できる場所や風雪を避けられる場所まで移動するのに有効なのが、ロープナビゲーションである。
事前に地図上で方向と距離を表にした上で(←すごく重要。風のある中で、いちいち正確な地図読みを行うのは困難)、現在地を特定し、コンパスで方向を、ロープで距離を確認しながら、尺取虫のように50メートルづつ進んでいく。1/25000の地図であれば、ロープ50メートルで地図上2ミリメートル進んだことになる。
これを有効にに使うためには、①事前に地図の表を作っておく、②現在地がどこかが正確に把握できている、③ロープを持っている—などか必要である。
ガイドを利用し冬山に行く時で、悪天候により目的地まで行けない場合、このような『もしもの時に役立つ登山知識』の講習を行なう事も多い。せっかくのガイド登山が無駄にならないよう、臨機応変に対応しています。
また、『表』の作り方やロープナビゲーションは、ご用命があれば、別途講習を行なっています。お気軽にお問い合わせ下さい👍